Wilhelm Furtwängler – 仏UraniaのEroica

Urania Recordsのエロイカ(URLP 7095)が手に入りましたので音源を公開します。
入手した盤はファーストプレスのフランス盤になるようです。

米盤のジャケットとレーベルあるフルトヴェングラーのクレジットは仏盤では消えており、後で所有者がフルトヴェングラーの名前をシールで貼ってます。ジャケットのクレジットから1954年頃のレコードだと思われます。

この無記名になった経緯は、フルトヴェングラーが起こした訴訟が影響しています。
米ビルボード誌に記事があったので引用します。

  • ビルボード誌 1953年12月26日より
    ~略~
    Furtwangler is under exclusive contract to HMV. But a Urania spokesman said their defense will be based on the claim that the conductor was not under contract to any diskery at the time he cut the tape.  Furtwangler further stated he did not even remember conducting the performance issued in the Urania disking. He is asking the court for an injunction and damages. Should Furtwangler win his case, the decision would not affect distribution of the LP in the United States, observers declare.
  • ビルボード誌 1954年1月2日より
    Urania Ordered To Remove Name Of Furtwangler
    PARIS, Dec. 26. Urania will have to remove the name of Wilhelm Furtwangler from a recording of the Beethoven Third Symphony, which the conductor claims he cannot recognize as his own. This was the ruling of a civil court here this week closing an action brought a week ago by Furtwangler (The Billboard, December 26). Urania’s French distributor, Thalia Disques, declared the recording was made by Furtwangler in a German studio in 1944. The decision does not affect distribution of the recording in the United States.

判決の結果、フランスの販売元であるThalia Disques社がフルトヴェングラーの文字を消して売ることになったようです(販売差し止めには至らず)
また、この判決でアメリカの販売には影響はないとあります。

仏盤からはちょっと脱線した話ですが、パリでの裁判の後、ニューヨークで代理人を立て1954年3月中旬に訴訟を起こしました。その中で、ウラニア社の反論としてテープが正式に取得した経緯が示されたそうです。

  • ビルボード誌 1954年5月15日より
    ~略~
    In Urania’s lengthy reply, filed in New York Supreme Court, a detailed account of the events leading up to its acquisition of the disputed tapes is recounted.
    Such elements as the British capture of the tapes, their transfer with other property to the Russians in exchange for an airfield, a military order signed by Soviet Marshal G. Zhukow, one-time chief commander of the Soviet occupation troops in Germany, and the transfer of the tapes to the “German Democratic Republic.” all play a role in the complicated legal drama.
    The entire point of the Urania bundle of documents, prepared by attorney Abraham M. Lowenthal, is to prove its contention that the tapes were legally acquired, that they were studio tapes rather than “air checks” and made with the view toward their eventual use as records..

話題を盤に戻して。
コレクターの方に、この仏盤はサーフェイスノイズが少ないと教えていただきました。
今回手に入れた盤も、確かにトレース時のノイズが少ないです。
仏盤と米盤との違いを調べましたが、マトリクス番号で参照すると米盤と同じ型なので、だいたい同じ音だと推測しています。

マトリクス

  • A面 [URLP 7095 UR  E3 KP 4554 1D B2 ]
  • B面 [URLP 7095 UR  E3KP-4555 1B A3 ]

研究されている方に教わった情報になりますが、レコードに刻印された
URLP 7095 UR E3 KP 4554 1D B2
の情報から整理すると、
(1)URLP 7095 → ウラニア社のカタログ番号
(2)UR → ウラニアレコードのクレジット
(3)E3 KP 4554 → RCAのルールに基づくラッカー盤のマトリクス番号
(4)1D  →  ラッカー盤のテイク番号?重版整理のスタンパー番号?
(5)B2  →  仏でスタンパー作成時に刻印された番号
となり、米で(1-4)まで刻印されたメタルで仏に送られ、米盤にはない(5)は仏の工場で追加されたようです。
URANIAの前期マスターで(4)には1A,1B,1C,1D,1ABなどがあるそうですが、少なくとも1954年にA面の(4)で1Dが出ているので、1Aが最初期のものであれば短期間で更新されていたことになります(若い順でない可能性もあるとか)。この(4)がラッカー盤のテイク番号か、プレス時の重版を意味するスタンパー番号かはわかりません。(4)のA面1DのとB面1Bのとで刻印された文字の書体が異なるので、全く同じ時間と場所で作られたラッカー盤ではないと思われますが。。。確認のために米盤を集めるのはきついか(;^_^A

仏ファーストをお持ちの方に問い合わせましたが、この仏盤のマトリクスはどうやら固定でE3 KP 4554 1D、E3KP-4555-1Bの組み合わせのようです。
1953年12月にパリで訴訟があったことから、その時期にはパリのThalia Disques社に確認用としてこのクレジットのメタルが渡っていたと推測しています。

Artists Wilhelm Furtwängler (Conductor)
Wiener Philharmoniker
Comporser Ludwig van Beethoven
Title Symphony No.3, Op.55
Label URLP 7095
Matrix URLP 7095 UR  E3 KP 4554 1D B2
URLP 7095 UR  E3KP-4555-1B A3
Recording 16-20 Dec, 1944

復刻環境

AD/DA RME ADI-2 Pro
Player CosmoTechno DJ-4500(改造)
Cartridge Denon DL-102
MicPreAmp BEHRINGER MIC2200 Ultragain Pro(改造)
DAW Magix Samplitude Pro X3
Recording Format PCM 32bit float / 384kHz

RIAAカーブではないので調整が必要です。
サ行のチリ付きは、音に影響なしで消せないノイズなので厄介でした。プレス時に入ってる感じがしますが、どうなんでしょうか。
他に、傷による周期的なパツ音が入りましたが、こちらはきれいに消せました。

噂通り高域がきつすぎるので適正と思われるレベルまで調整しています。
問題のピッチは、編集時の利便性を考え33.3rpm(非接触型の回転数測定器で計測しました)で録音、その後ソフトウェアで96.5%の速度に落としたので、公開している音源の回転数は32.1345rpm相当になります。

聞きやすくなっていると思います。当時のテープであれば音質的にもっと伸びしろがあったと思うのですが…
一番欲しかった終楽章の鳴りっぷりは楽しめるので、これはこれでよしとします。

2018/02/25追記
現在、再録中。。。ピッチをいじるのはDAWではなくターンテーブル側が正解みたいです。DAW側の補正では音のバランスが少し変わってしまいました。
32.1rpmで録り直しています。

2018/02/27
ターンテーブル側を32.1rpmと33rpmで調整し収録、同一カーブを当てたものを公開しました。

今回は二種類の回転数で収録した音源を公開しています。

高音質のフォーマットをご希望であれば、メールにてお問い合わせください。USBメモリでお渡しします。(有料になります)

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