レコードの回転数について

2022/10/27 公開

78rpmとは

電気録音や電気蓄音機の実用化にあたり、交流電源の周波数の規格が米国と欧州で違うため交流モーターの回転数が一致しない問題が出てきました。

最終的に1925年に
・電源周波数の60Hzの地域(米国等)用には3600rpm動作のモーターを46:1のギア比率で減速させた78.26rpm
・電源周波数の50Hzの地域(欧州等)用には3000rpm動作のモーターを77:2のギア比率で減速させた77.92rpm
でだいたい78rpmくらいだし、いいでしょ、という取り決めになったそうです。
あくまで理論上ですが、初期の電気録音で欧州録音は78.00rpmより若干遅く、米国録音はわずかに速い可能性があります。
(ただし実際は当時の電源環境が不安定だったのか盤の途中で回転数落ちてる盤がそこらにあります。)

一連の流れは電気蓄音機を率先して作っていた英国のHMVとアメリカのVICTORらの取り決めであり、80rpmを採用していたレーベルは後に渋々追随しなくてはいけなくなったのではないかと推測しています。
ちなみにVICTORは1910年代から78rpmだよと公表していたものの実際には75-76.5rpmあたりで録音していた社内の文章があるそうです。

78rpmはシェラック盤の愛称で、日本でいう「SP盤」の意味で海外ではよく使われています。(海外のショップやオークションでは例えばColumbiaの80rpm時代の盤もLPと区別するために78rpmのカテゴライズに入っちゃっています。)

まことにややこしい話ですが1910年代やその前の回転数は同じレーベルでも録音ごとに回転数のばらつきがあり(73~82rpm程度の幅は頻繁に見かけます。)、世界中のコレクターはこうした問題を解決するため録音物のピッチを調査する羽目に陥っています。


各レーベルの回転数

そのうち追記


参考
http://pspatialaudio.com/speeds.htm
https://78records.wordpress.com/category/victor-78-rpm-records-2/


78rpm盤や初期のレコードの再生、アナログのデジタル変換、音源の検証、マスタリングなどを研究しています。非商用であれば自由に転用してください。サイト名とURLのクレジットいただけると嬉しいです。

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