Elisabeth Schumannについて

わが愛するエリザベート・シューマンについて、ご紹介を。

エリザベート・シューマンはスーブレット役や、 リート歌手として名声を博しました。当たり役は「薔薇の騎士」のゾフィー、「魔笛」のパミーナがあります。

ゾフィーを巡っては、1911年にハンブルク劇場での「薔薇の騎士」初演の際、まだ新人で1年後輩のロッテ・レーマンと役を取り合いました。(シューマンのほうが2年先輩だとか)
最終的に実績のあったシューマンに役が回り、ゾフィーは彼女の最大の当たり役となります。
後にレーマンが元帥夫人の配役で共演したコヴァントガーデンの公演は伝説的な成功を収めていたりもしています。
1933年の抜粋録音ではリヒャルト・マイヤー、ロッテ・レーマン、(そしてわが愛する!)エリザベート・シューマンというコヴァントガーデンでのキャストが再現されており、その公演がいかに素晴らしかったかうかがえます。

パミーナの方は機械吹込み、電気録音両方でアリアを残していますが、電気録音の方はいまだに聴いたことがありません。
マトリクス番号を見ると録っているけれどお蔵入りになっているようです。
モーツァルトのオペラ上演でザルツブルク祝賀祭は、一次大戦後の1922年からリヒャルト・シュトラウスの口添えで参加をしています。

作曲家のリヒャルト・シュトラウスは彼女を大変気に入り、1921年のアメリカ・ツアーをはじめウィーン・デビューでも大きな支えになりました。
シュトラウスは彼女にサロメを歌わせたかったようですがシューマン側がスキャンダラスなものを嫌って拒否をしたようです。

その後シューマンはウィーンの聴衆に愛され、ウィーン国立歌劇場から女性で初めて勲章を与えられた歌手でもあります。(2人目はレーマン)
ウィーン宮廷歌劇場(後のウィーン国立歌劇場)のメンバーとなった後はヨーロッパ中で活動していましたが、1937年のナチスによる併合を機にアメリカにわたり、舞台から退きます。
1885年-1888年生まれには名演奏家が多く、アメリカに渡った同世代の歌手がメトで活躍して録音も残しているため、早すぎた引退が悔やまれます。

舞台引退後はフィラデルフィアのカーティス音楽院で指導をしていました。
1952年4月23日没。

録音から聴こえてくる歌声

ハンブルク時代の1913年に録音を始めます。
初期の録音では、後年ほど機知に富んではいないものの、凛とした艶のある声質が魅力的です。
1920年からPloydorへ録音されたモーツァルトのアリアはどれも素晴らしく、特にパミーナのアリアが出色の出来でした。

1926年にHMVへ移籍し、電気録音での吹込みを始めます。
1920年代中ごろから徐々に声が軽やかになっていき、ウィーンで活躍するようになった影響なのか、魅力的なポルタメントや情緒豊かで機知にとんだ表情が楽しく、それらを包むやわらかい歌声は絶品の一言です!

1930年頃の中頃から再び中域に陰影が現れはじめ、輝かしい高音とコントラストによって、表現に深い奥行きが生まれています。
時代背景が影響しているのか、この頃のシューベルトのリート録音は胸が締め付けれられるような、情感ある歌が聴けます。

スタジオ録音は1939年に中断され1945年に再開されますが、この頃から声の衰えが目立つようになりました。戦中の録音中断が惜しまれます。
elisabethschuman.orgによると戦中のリサイタル録音が多数残されているようですがCDでは未だ日の目を見ていません。

戦後は1950,1951年にリサイタル録音があるほかリートの解釈講義のCDも存在します。

お気に入りの録音

特に気に入っている録音をご紹介します。

  • シューベルト / アヴェ・マリア (1934年録音)
  • マーラー / 子供の不思議な角笛より「誰がこの小唄を思いついたの?」 (1930録音)
  • モーツァルト / 歌劇「魔笛」よりアリア「愛の喜びは露と消え」 (1923年録音)
  • グルーバ / きよしこの夜 (1938年録音)
  • 作曲者不明 / コヴェントリー・キャロル (1938年録音)
  • モーツァルト / レクイエム(1937年録音)
  • R.シュトラウス / 歌劇「薔薇の騎士」抜粋 (1933年録音)

リートを得意としていた印象ですが、実はリートの録音はHMV移籍後から始まります。
エリザベート・シューマンのリートはコケティッシュな魅力に加え優雅で気品があり、常に歌心であふれています!

管弦楽編成のアヴェ・マリア(Ave Maria D.839)は人気があり多数のレーベルで復刻されています。
シューベルトでは、2回録音している「鱒」(Die Forelle D550)をはじめ
「緑の中の歌」(Das Lied im Grunen D917),
「音楽に寄せて」(An die Musik D.547),
「水の上で歌う」(Auf dem Wasser zu singen D.774),
「ミューズの子」(Der MusensohnD 764),
「岩の上の羊飼い」(Der Hirt auf dem Felsen D965)等が印象に残っています。
シューマン自身の性質と曲とを融合させつつ、多彩な表現で歌い分けています。
ブラームスやシューマンなどでも同様に、曲の性質を個性で消化させ、彼女独自の世界観を楽しめます。

モーツァルトのアリアは機械吹込みのPolydol録音と電気録音のHMV録音があります。
1920年に開始かれたPolydol録音では純真でシューマンらしい魅力にあふれていますが、1926年からのHMV録音ではウィーン風なウィットを感じさせるモーツァルトへ変容しているのが聞き取れます。
1930年代のザルツブルグ祝賀祭にも参加していたのですが、残念ながら録音で声を聞くことができませんでした。非常に残念でなりません。

その他あまり話題に上がることがないマーラー、魅力的な口笛が聴けるオペレッタやきよしこの夜(これは復刻盤すらない)いずれもシューマンの魅力が存分に発揮されている録音です。
ライブ録音のモーツァルトのレクイエムではワルター&ウィーン・フィルに引けをとらない美しさでオーケストラの奥から立ち上がってくる天使の歌声に驚きました。

戦前の日本ではモーツァルトのアリアが発売されていなかったようで、リート歌手として認知されており、特にシューベルトのリートで親しまれていたようです。
彼女の即興的な機知に富んだ表現を聞くと、舞台人としても一流であったことが伺えます。ぜひ舞台が見たかった!

録音はEMIの6枚組のCDや、NaxosのCDが入手しやすいかと思います。
NaxosのいくつかのCDは以前発売された Romophoneの原盤を買いとり再販していたようですが、Romophoneのコンプリート・エディションを再開する様子はありませんでした。
何年待ってもリリースされないじゃん!ということで、SP盤を収集を始めることになってしまいました。私がレコードを聴く半分くらいの理由は彼女の存在があります。

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